泌尿器科の疾患だけでなく、透析管理のスキルを持った医師へのニーズが高い

女性医師はチャンス

高齢者の増加により頻尿、尿漏れなどの排尿トラブル、前立腺肥大症や前立腺がんなどの患者も増加しています。また、若い世代ではクラミジアなどの性感染症も増えており、泌尿器科医に対するニーズは高い状態にあります。

泌尿器科は他科との連携で治療にあたることは少なく、自分ひとりで診断から治療、手術までを判断する場合がほとんどなので、「わが道を行く」タイプの医師が多い傾向にあります。また、下半身の悩みなので、患者と上手くリラックスさせるなど、コミュニケーションの上手な人も向いています。

泌尿器科を標榜する医療機関は、透析施設を併設しているところが少なくないため、純粋に泌尿器科の病気を診るだけでなく、透析管理ができる人材へのニーズが高まっています。転科をご希望の方は、透析管理に関するスキルも磨くことのできる医療機関を選び、キャリアの選択肢を広げておくのが賢明です。

国家試験の合格者数に占める女性の割合が高まっていますが、女性の泌尿器科医はまだまだ少ないのが現状です。病気の症状を「恥ずかしい」と感じる女性患者も「同姓の医師がいれば相談しやすい」と思っているので、そういった意味では女性医師の「狙い目」の診療科といえます。

実際、女性外来に限定した外来日を別に設けるなど、女性には配慮することで女性患者を集めているクリニックが増えてきています。また、窓口となる婦人科と連携をとるケースも多いので、そういった面からもこれからの泌尿器科は、女性医師が活躍できるステージになると予想されます。

泌尿器科の代表的な疾患

排尿トラブルなど高齢者の悩みは多い

前立腺肥大症
前立腺にある内腺という組織が肥大し、膀胱が刺激されるため、トイレの回数(特に夜間の頻尿)が増えたり、内腺が尿道を圧迫して、排尿困難などの症状が現れます。65歳以上の男性の多くは前立腺が肥大していますが、症状が出てくるのはおよそ半分です。

前立腺がん
前立腺内の、特に外側の組織(外腺)に生じるがんです。一般に成長が遅く、初期症状がありませんが、進行すると頻尿、排尿痛、血尿、あるいは尿がほとんどでないなどの症状が現れます。骨や肺に移転しやすいのがこの病気の怖いところで、転移がんによる症状が現れて始めて、前立腺がんが確認されることも少なくありません。

尿道炎
尿道にクラミジアや淋菌などが感染して、炎症を起こすものです。性感染症の一種ですが、感染経路に性交が全く関係していなくても発症することもあります。感染後2週間以内に、排尿痛や尿道の違和感、灼熱感などの症状が現れます。症状は男性が強く、女性が弱い傾向にあります。