ワークライフバランスを実現しやすい診療科ですが、常に技術研鑽が必要

特に女医に人気が高い

眼瞼(がんけん)、結膜、角膜、水晶体、眼底、眼窩などの病気を扱う「眼科」の診療行為は検査が中心で、各症状に対してまずは検査を行って、その後治療に入ることがほとんどです。

社会の高齢化とともに白内障や、網膜疾患などが増加していますが、これらを含めて眼科における疾患の治療は、短時間で終わる日帰り手術が主流となっているのが特徴です。

同じく手術を扱う外科系の診療科のように激務ではなく、患者の死と直結しないことから訴訟リスクも低いうえ、定時に帰りやすいなどの理由で、近年は最初から眼科を専門科として選択する若手医師が増えており、医師不足のなか、眼科や皮膚科などに医師が集まる「医師の偏在」が問題となっています。

したがって、眼科への転科を希望する方は、この分野を極めるくらいの覚悟で望まないと厳しいと言えます。仮に転科を受け入れてくれる医療機関が見つかったとしても、技術研鑽を怠ると早晩、多くの眼科医のなかに埋没してしまい、「コンタクト屋」となってしまいます

以前はコンタクト診療関連の報酬が高く、医療機関にとって「ドル箱」の存在となっていたため、求人も豊富で、「コンタクト屋」と揶揄されようが、十分にやっていけました。しかし、度重なる診療報酬の不正申請が問題となり、その後の診療報酬改正でメスが入れられた結果、求人も大幅に減少しています。

日帰り手術が「花盛り」にある現在、眼科に向いているのは、基本的に手術が好きな人です。高収入に魅せられてレーシック手術に特化した眼科医を目指す方も少なくありませんが、レーシックもそろそろ過当競争の時代に入ってきており、他の疾患の研究も行っていないと、数年後にはキャリアの伸びしろがなくっている可能性があります。

眼科の代表的な疾患

コンタクトレンズ関連の病気も多い

アレルギー性結膜炎
アレルギーなどが関係して起こる眼の病気で、眼のかゆみをはじめ、白眼が赤くなる、粘り気のある目やにが出る、ゴロゴロと違和感を感じる、光がまぶしいなどの症状が現れます。

治療法としては、アレルギーゲンの除去が最良となり舞うが、困難であることも少なくなりため、症状を和らげるアレルギー性結膜炎治療点眼剤などが使用されます。

緑内障
眼圧の高さで視神経が萎縮してしまい、その分視野が狭くなり、視力も低下する病気で、早い段階で治療を開始しないと最悪の場合、失明に至ります。日本人には眼圧が正常であるにもかかわらず、発症する正常眼圧緑内障が多いため、定期的な検査が大切となります。

一旦失われた視野・視力を回復させることはできないので、治療法としては、点眼薬で眼圧を正常なレベルにまで戻して、症状がそれ以上進行しないようにします。これで効果が認められれば、生涯にわたり薬物療法だけで病気の進行を食い止めることが可能です。

薬物療法だけでは不十分と判断された場合には、顕微鏡で覗きながら眼球を微細にメスで切開・切除して、房水の排出口を新たに作る手術や、レーザー光線を使うレーザー手術などが行われます。

白内障
加齢とともに、本来透明なはずの水晶体が濁りはじめ、視界が混濁した(曇ったような)状態になる病気です。治療は基本的に手術となります。混濁が日常生活に支障をきたす場合には、水晶体を摘出し、人口の眼内レンズを挿入します。

異常屈折
いわゆる、近視・遠視・乱視で、眼科で診察する機会の最も多い病気です。治療に際しては、一般的にメガネやコンタクトレンズで屈折異常の矯正を行います。眼科では矯正視力検査を行い、メガネ処方箋を交付します。手術により屈折異常を矯正するレーシックは、保険適用外となっています。